射精のメカニズム

今回は射精のメカニズムについてまとめます。

射精は勃起の延長線上で起きそうなイメージですが、勃起と射精ではメカニズムがまったく異なります。

勃起は副交感神経優位と説明しましたが、なんと射精は交感神経。
複雑だからトラブルも増えるのでしょうね。

精液とは

精液は、精子と精漿(せいしょう)から成り立っています。
精液のうち精子の割合は、なんと約1~5%程度です。少なっ!
精漿は精液の約95~99%を占め、そのうち70%程度は精嚢からの分泌液(精嚢液)で、30%程度は前立腺からの分泌液(前立腺液)です。

精液が白いのは、前立腺液が白いからです。
精嚢液は透明なゼリー状で、透明〜薄い黄色そしています。
ゼリー状の精嚢液に、白い色をした前立腺液が混ざり合うことで、ドロッとした乳白色の精液が作られるのです。

精液量について

カウンセリングで性に関する自覚症状をお伺いすると、精液量が減ったという声が聞かれます。

健康な男性の射精1回あたりの射精量は、平均3mlとされています。ティースプーン1杯の容量はおよそ5mlなので、意外と少ないですよね。

精液量は加齢とともに、自然に減少する傾向にあることがわかっています。これは、テストステロンの減少、前立腺や精巣の機能低下、血流の変化などが要因と考えられます。

精子の製造

陰嚢は精巣を包んで保護する厚い皮膚でできた袋です。
正常な精子をつくるためには精巣の温度を体温よりやや低く保つ必要があるため、陰嚢には精巣の温度を調節する役割もあります。
陰嚢壁の精巣挙筋は、緩んで精巣を体から離して冷やしたり、収縮して精巣を体に引き付けて温めたり保護したりします。

精巣は卵形の器官で、平均的な長さは約4~7㎝、容積は20~25mlです。多くの場合、左の精巣は右よりもわずかに低い位置にあります。
精巣には2つの主要な機能があります。

・男性の遺伝子を運ぶ精子をつくる機能
・主要な男性ホルモンであるテストステロンをつくる機能

精子が完成までの日数には個人差があり、42〜76日程度かかるといわれています。

精子は精巣上体に蓄積されていきます。毎日射精したとしても、次々につくられるため、健康な男性の場合は基本的に精子が枯渇することはありません。
射精せずに体内に溜まった精子は、つくられて1週間を迎える頃には老廃物として体内に吸収されます。

射精のメカニズム

精子から精液へ

性的刺激に応じて、交感神経が精管の平滑筋を収縮させることで、精子が精巣上体から精管膨大部へ移動します。
さらに精管の動きによって射精管へと運ばれ、射精管内で精子と精嚢液が混ざり合います。
その後、前立腺に運ばれ前立腺液とも混ざり合い、精液が形成され、後部尿道へと運ばれます。

また、尿道球腺(カウパー腺)からは、射精前から尿道球腺(カウパー腺液)が分泌されており、いわゆるガマン汁として尿道口から出ます。

内尿道口の閉鎖

内尿道括約筋は膀胱の出口(内尿道口)に位置する平滑筋で、自分の意思では動かせない筋肉です。

射精の準備段階で、交感神経が内尿道括約筋させます。
この収縮により、精液が膀胱内へ逆流するのを防ぎ、尿道へ精液を送り出すルートを確保します。(逆行性射精の防止)

精液の体外への排出

性的興奮が頂点に達すると、尿道外括約筋、球海綿体筋、坐骨海綿体筋が収縮して、精液が体外に放出されます。

不応期(賢者タイム)

不応期とは、射精後一時的に性的刺激に反応できなくなる期間のことを指します。いわゆる賢者タイムです。
射精後、脳下垂体前葉からプロラクチンが大量に分泌されます。プロラクチンは興奮物質であるドーパミンや、テストステロンの分泌を抑制します。それにより賢者タイムが訪れます。
不応期の長さには個人差があり、まれに短縮されたり、不応期がないという場合もあります。

これだけ覚えて

・勃起と射精は別物
・射精は交感神経がコントロール
・球海綿体筋、坐骨海綿体筋が重要
・射精量の目安はティースプーン1杯程度

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